相続事例紹介 ケース1
Q:思いのほか高かった自宅の評価に驚き?! 自宅は絶対に売るな!の父の遺言、どう対策すればいい?
A:特例を使えば税金を支払わずに済みます!ただし、申告が必要です。
◆相談内容
大井さん(50代女性・仮名)の父親(80代)が亡くなり、母親(70代)と大井さんの2人で相談に来られました。
父親は地方から関東に来て食品メーカーに就職、まじめに働いて家を購入し、定年まで勤めました。
自宅は、土地25坪(80㎡)で3LDK、夫婦と子供二人が住むには十分の広さで、ローンを借りて30代で購入。
それから50年ほど住み続けています。
自宅は私鉄の最寄駅から徒歩5分にある1戸建て住宅です。
路線価を確認すると㎡あたり45万円となっており、父親の自宅は80㎡ですので3750万円が土地の評価となります。
人気のエリアで、最寄り駅から5分という好立地になるので、父親はとてもこの家を気に入っていて、とにかく売らないようにと強い希望がありました。
父親の財産は自宅土地3750万円と建物250万円、預金1500万円、有価証券2000万円があり、合計すると7500万円となります。
相続人が母親と妹さんの3人ですと、基礎控除は4800万円ですので、相続税の申告が必要な財産だと判断されました。 大井さんも母親も、土地の評価がそんなに高いところだとは知らずにいて、ずっと住んでいると価値があがったという実感がないといいます。 そもそも資産家ではないので、相続税は関係ないと思っていたようです。
しかし、相続税の申告が必要だと知るととても驚いておられました。遺産分割案は父親の意思を尊重して、すべての財産を母親が相続することがいいとアドバイスしました。大井さんも妹も、母親の老後が不安にならないように、父親の財産も全て母親が相続することに異論はないといいます。
◆対応策
配偶者には財産の半分まで、あるいは1億6000万円まで相続しても納税はいらないという特例があります。
それを適用することで納税の負担が減らせて、自宅が残せます。
父親には自筆の遺言書があり、財産は配偶者に相続させると書いてありましたし、家は売らずに残すようにと生前から父親に何度も聞いていますので、子どもたちもそれに習う形になります。
大井さんの場合、配偶者の税額軽減や特例(同居することで小規模宅地等の特例が使える)を使うことで納税は不要にできますが、それには申告が必要となります。
大井さんも母親も、まさか相続税の申告が必要だと思わなかったようですが、評価を説明して、納得されました。
これから相続税の申告の準備に入りますので、引き続きできる限りのアドバイスをしていきます。
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