• 相続事例紹介 ケース7

    Q:今は交流のない親族の土地相続、遺産分割協議に協力を求められた。相続放棄をしたいがその手続きも一苦労。どうすればよい?

    A:相続放棄するためには家庭裁判所に書類の提出が必要ですが、「譲渡証書」を用いて相続の権利を特定の相続人に譲渡する方法もあります。司法書士や弁護士に手続きを依頼すると費用もかかってしまいますので、状況によっては「譲渡証書」を利用することもご検討ください。

    ◆相談内容

    ご相談者:斎藤さん(女性・仮名)

    幼少の頃に亡くなってしまった実母の親族に関わる相続のご相談。ご自身は父親の再婚相手に養育されたため、実母親族との交流が全くない状況でした。しかし、曽祖父名義の土地が残っていて、実母の兄弟が相続のため、遺産分割協議に協力してもらいたいという連絡がきたとのことです。

    相続は実母の祖父の土地5坪ほどのわずかなもので、4代前の曽祖父の名義のままで変えられていない。また、同封されている家系図をみると子供、孫、ひ孫も合わせて相続人は36人にのぼることが分かりました。

    交流のない親族の相続の上、手続きも大変そうなので、斎藤さんは相続放棄の方向で考えているそうです。

    ◆対応策

    相続放棄をする場合には亡き実母の戸籍を集め、家庭裁判所に提出が必要です。しかし、戸籍を集めるにも時間と費用がかかりますし、提出書類を揃えたり、提出に行ったりと、手間はかかってしまうのが実情です。自分でやる時間があれば金銭的にはそれほどかかりませんが、司法書士や弁護士に手続きを依頼すれば費用が発生してしまいます。

    そこで、今回は自分の相続の権利を特定の相続人に譲渡する「譲渡証明」による手続きをお勧めしました。この方法ではご自身は相続しないことになるので、実質的には相続放棄と同じです。「譲渡証明」に実印を押し、印鑑証明書と戸籍謄本を添付することで手続きが可能ですので、せめて時間と手間を省くことのできるこちらの方法にてお手続きすることをアドバイスいたしました。